シネマグラフ・原理・考察・時間表現

前回、シネマグラフとは
「一部分だけ動いている写真」ですよ、
と説明をしましたが、あれはです。
正しくは
「一部分だけ“時間”が動いてる写真」
なんですね。


写真というのは、ご存知の通り
〈その瞬間〉を切り取ったものなので、
量的な時間、というのを持ちません。
私達は、写真を見る時に、そのことを意識することなく、
ごく普通のこととして受け止めています。


ところが、その写真の中に
〈時間の流れ〉を持った要素が入り込んでいると
私達の認識に混乱が起こります。


そこがポイントです。


最初から動画だと思ってたら驚かないのに、
写真が動いてるとびっくりする。


私達の脳はどうも、動画と写真を観るときに
無意識にスイッチを切り替えてるようですね。


シネマグラフ作例

改めて前回の作例に戻ってみると
…もうおわかりだと思います。


この画像は、見た目が最初から動画っぽいんです。
夜中の道路で、人や車の通行がなければ、
動きのない部分があっても、別に不思議じゃない。
画質もそうですね。
加工したりして頑張ってはいますが、
元がスマートフォンで撮影したものなので
深夜にテレビでやってる定点カメラ映像みたいな雰囲気に
なってしまっています。


「これは写真だ(=時間が流れるはずがない)」
というのを無意識に思わせられないと、
シネマグラフ的な面白さは生まれてこないのです。


それらを念頭に置いて、ふたたび
https://www.tumblr.com/search/%23cinemagraph
http://www.pinterest.com/search/pins/?q=cinemagraph
シネマグラフの名作群を観てみると
どれもちゃんと「写真」に見えるような工夫がされています。


まず、画質がハイファイ、なパターン。
ファッション写真ぽく綺麗にライティングされてたり、
一眼レフみたいに背景がボケてたりすると、一気に写真らしさが増します。


それから、顔(人物)。
人間は呼吸もするし、まばたきもするので
動画であれば、何もしてなくても必ず動きはあります。
それは逆に、人が完全に静止している画像だったら
写真に見える、ということでもあります。


では動いてる部分に「煙」「風」「水」の表現が多いのはなぜでしょうか。


それらが、「時間が流れている」ことを伝える表現として、
一番わかりやすいからですね。
エントロピーの増大。


物体が左から右に移動する、というだけでは
時間の表現としては弱いんです。
これが「落下」だと時間を表現できたりしそうです。


…ここから先は
自分で考えてくださいね!
理屈だけで名作が作れるかも!?